今はなき映画のミニ・ポスターで、まだ見ぬ(見れない)映画の妄想をふくらませる

古い映画のことを調べていると結構な頻度で出会うのが、映画の一場面が印刷された横長サイズの宣伝用ミニ・ポスターです。Lobby Cards(ロビーカード)と呼ばれるもので、その名のとおり映画館のロビーに展示するためのもので、1910年代頃から登場して1990年代にほとんど消滅していった映画の宣伝方式のひとつです。

だいたい映画のなかのワンシーンとともにタイトルとキャストの名前がプリントされていて、いわゆる映画のポスターよりも、パッと見てなんか面白そうだなぁと、直感的に興味をそそるデザインが多くて、人を誘い込む煽り広告(いい意味で)みたいなものが多い印象です。

今では入手困難なものなので、当然ながらコレクターズ・アイテムとしてオークション・サイトなどで取引されているのをたくさん見かけたのですが、値段もピンキリ(7千円から5万円)。

そしてまったく知らない(日本公開も多分されていない)昔の映画が大量にあるので、その画像を見ながら、いったいこれはどんなものすごい作品なんだ! と興奮ばかりが先走るものも大量に見つかります。といっても個人的な好みで申し訳ないのですが、ホラーとかSF系のヘンテコ映画に妄想は集中いたします。

見る人の妄想ばかりがふくらむロビーカードの秀逸デザイン

「ASTOUNDING SHE MONSTER」(1958年)放射線を放つ女性エイリアンの侵略ものSF作品。いったいどういう状況なのか、確かに興味がそそられるロビーカードのお手本デザイン
「ASTRO-ZOMBIES」(1968年)お約束の露出度の高い女スパイと科学者のこの絵だけで興味がグイグイひかれるSFホラー作品ですが、評価はめちゃくちゃ低いみたいです
「ATTACK OF THE 50 FT. WOMAN」(1958年)「妖怪巨大女」の邦題がついたこちら。この絵だけで見に行かなければならないくらいのベストデザイン
「BLOOD OF DRACULA」(1957年)学校の科学教師の実験でモンスターになってしまった少女のホラー映画で評価もそれなりにいいようです。実験シーンの絵なんでしょうが、このいかにもなポンコツ感がたまりません
同じく「BLOOD OF DRACULA」からで、この女子学生たちのファッションと表情、100点満点
「CIRCUS ACE」(1927年)サイレントの西部劇だそうです。デザインが可愛い
「EARTH VS. THE FLYING SAUCERS」(1956年)かの有名な「空飛ぶ円盤地球を襲撃す」のロビーカードですが、森のなかで、こんなおにぎり山の形をした宇宙人に出会ったら腰を抜かします。あとタイトルのロゴもちゃんとおにぎり山の形になっていて可愛い
「EVERY GIRL SHOULD BE MARRIED」(1948年)今だったら炎上間違いなしのタイトル(邦題は「恋はかくの如く」)ですが、映画ポスターみたいな上品でおしゃれなデザインのものもちゃんとあります
「MR. BLANDINGS BUILDS HIS DREAM HOUSE」(1948年)こちらも上と同じくケーリー・グラント主演のロマンチック・コメディ映画で、大物俳優のロビーカードはおしゃれかつ可愛く作る決まりなんでしょうか
「FIRST SPACESHIP ON VENUS 」(1962年)スタニスワフ・レム原作の映画化作品で邦題は「金星ロケット発進す」。本格派SF好きしそうなこのビジュアルで期待通りの良作だったようで、ロビーカードに偽りなし
「FROM HELL IT CAME」(1957年)SFホラー作品だそうですが、木のモンスターがちゃんと絵に負けてないクオリティで実現されているみたいで自信を感じる
「HORRORS OF THE BLACK MUSEUM」(1959年)よーく見たら双眼鏡から針が突き出していてギャーと叫んでしまう。おどろおどろしいイラストも相まってホラー好きの心をくすぐるロビーカード
「IT CONQUERED THE WORLD」(1956年)ロジャー・コーマン監督の作品「金星人地球を征服」なんですが、え、このシーンでいいんですか? と思うくらいのポンコツ特撮場面をチョイス。異様に怖い金星人の顔イラストもあって、やはり見てみたくなる魔力があります
「KING KONG」(1952年リイシュー版) 名作「キングコング」のデザインはかっこいい
「MIDNIGHT COWBOY」(1969年)こちらも名作「真夜中のカーボーイ」のデザインもかっこいい。通常4〜8枚のロビーカードがセットになっていることが多かったみたいです image via Film Posters

メキシコのロビーカードはもっと欲望をかきたてる

ここまではアメリカとイギリスのロビーカードでしたが、メキシコのロビーカードをコレクションしているZombos’Closetというサイトを発見。これがまた目に楽しいお祭り騒ぎのデザインで興奮しました。

「Los Vampiros de Coyoacan」(1974年) メキシコのホラーアクション映画だそうで、プロレスラーが大活躍するみたいです。コウモリの4連デザインが無駄にクール!
「Satan’s Cheerleaders」(1977年) 今すぐ見たくなるビジュアルのこちらはアメリカのホラーコメディで、チアリーダーと悪魔崇拝者が戦うらしく(最高!)、ロビーカードが映画の全てを伝えていてすごい
「World Without End」(1956年)アメリカのSFアドベンチャー映画らしいのですが宇宙感皆無でモンスター推し
「The Walking Dead」(1936年) ボリス・カーロフ主演のホラー映画のデザインはおしゃれ! image via Zombos ‘ Closet

ドンキホーテか楽天か! と思うくらい、情報てんこ盛り、思わず止まって凝視したくなるド派手さが素晴らしかったです。

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