ある日、「これお好きじゃないですか?」とポンとおすすめに置かれた動画を見てみたら、ほんとに好みのビデオでした。アメリカ、ロサンゼルス・タイムズ誌が製作したショート・ドキュメンタリーで、3人のキルト・アーティストを紹介する「American Seams」です。
人それぞれの物語が縫い込まれたキルトを映像で語る
数学好きがキルトを始めて

最初に登場するのはユタ州に住むBrenda Baileyさんで、数学が得意で高校ではトップの成績をとっていたものの、女性というだけで、大学で数学の道に進むことができず家政学を学んだという、ちょっとビターな経験談から始まったものの、数学の知識がキルトで活かせることを知り、子供のためにキルトを縫い始め、今では娘さんと一緒にキルトのビジネスを始めたという、とても充実した日々を過ごしているのかなと思いきや、事故で半身不随となった夫の介護をしながら、ふと現実から逃れるときにキルトを縫っている、とも語っていて、しんみり。


Brendaさんが娘さんと始めたPie Plate Patternsで販売しているキルトのデザインは、明るい色使いと華やかな雰囲気のものが多い印象です(画像上)。
自然の素材で布を染めてキルトを作る

2人目はコロラド州に住むSara Buscagliaさんで、子育てで家に篭りきりになる孤独をまぎらわせるためにキルトを始め、元々好きでやっていた園芸から草木染めを思いついて、キルトに使う布を自分で染め始めたという方でした。小さな布が集まって1枚のキルトにTransformation(変化)することに魅了されたといいます。彼女もキルトや自然素材の染料を自身のサイト、Farm&Forkで売っています。


自身のルーツの悲劇の歴史を伝えるためのキルト


ラストはナバホ・ネイションに住む、ネイティブ・アメリカンのSusan Hudsonさんで、同化政策として白人式の教育を強制された母からキルトを学んだという方で、しかも教育といっても数学などを教えるのではなく、アメリカ人家庭の家政婦として働くための家庭科だけを教えられたという、むごい歴史があったそうです。Susanさんは白人のものであるキルトを使って、自身のルーツであるネイティブ・アメリカンの苦難の歴史を語るアート・フォームを作り上げたというすごい方でした。

彼女はキルトを作るときは祖先からの声を聞き、過去と現在と未来を繋ぐ役割を果たしていると語っています。
現実や時間を忘れてキルトに没頭し平穏を得る人もいれば、現実を忘れないためにキルトを縫う人もいて、それでも3人に共通するのは、半ば強制的に存在する現実に抗うためにキルトを生み出すことなのかもしれないなぁ。
17分ほどの短い動画ですが、映像もすごく素敵だし、田舎のカントリー生活好きとかにもギュンギュンくる美しいイメージにうっとりしてみてください。