この瞬間さえあれば満点です! 映画たち

悲しいかな、脳の老化で最近2時間長の映画を全集中で見ていられなくて、半分頭ぼんやり見ていることが多くなってきたのですが、そんな時に突如訪れる、目と心がカッと開く奇跡の瞬間がある作品もあって、もうそうなると他の場面はぼんやりしているのに、その瞬間があるだけで100点満点になる映画、最近はそんな感じで映画を見ています。

結婚式で隣り合っている男女
青いフリンジ付きドレスを着て踊っている女性

「メルビンとハワード」(1980年)ポール・ル・マット、メアリー・スティーンバージェン主演 ジョナサン・デミ監督

見たことがあるかもしれないけれど記憶からすっぽり抜けていたので見直した映画。偶然助けた億万長者から遺産を相続することになったダメ男、メルビンの物語で、実話が基になっているそうです。メルビンのパートナーを演じるメアリー・スティーンバージェンが出ている場面がとにかく素晴らしくて、彼女が踊る場面が私の奇跡の瞬間です。不器用だけど一生懸命に頑張る人たちの姿に弱いので、胸が詰まります。

部屋の中で並んで踊っている男性2人と真ん中に女性1人

「はなればなれに」(1964年)アンナ・カリーナ主演 ジャン=リュック・ゴダール監督

これも一度見たけど完全に忘れたので見直した、アンナ・カリーナとゴダールの黄金コンビによる犯罪ノワール映画の古典です。大きな声では言えないけれどゴダール監督の作品、大体頭半分ぼんやりして見てしまうんですが、クライム・サスペンスに男女の恋愛模様を絡めて、さらに突如ミュージカルになる瞬間、パキーンと頭が弾けて画面に魅了されました。個人的感想だけど、ゴダールの作品は全部このパキーンとくる奇跡の瞬間で出来上がっている気がします。

ダイナーのテーブルで向かい合って座って見つめ合っている男女
メガネの女性の隣で困ったような顔をして並んで立っている男性

「ディナー・イン・アメリカ」(2022年)エミリー・スケッグス、カイル・ガルナー主演 アダム・レーマイヤー監督

大好きなパンクロック・バンドのリーダーを家に匿うことになった少女のヘンテコ恋愛ストーリーです。社会不適合者同士がいつの間にか手を取り合う、という、どうしても嫌いになれない物語で、終始にっこりしながら見ていたんですが、二人の合作になる曲が出来上がった瞬間が奇跡でした(曲も良かった)。

「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」(2023年)

ご存知スパイダーマンのアニメ版で3部作の2作目です。いちおう1作目も見てますが、こっちの続編のほうに奇跡の瞬間が訪れました。老人の目にはもう動きが早すぎて目が疲れる…という場面も少なからずとはいえ、現在のアニメ表現の最高到達点であることは間違いなくて、「すんごいなぁ」とただ見てるだけでもいいんですが、スパイダーマンのピュアでナイーブな正義感とか、自分よりも他人のために真正面から頑張る姿に、素直に胸熱くなる瞬間、ありました。

現代の服を着た女性と王冠をつけた昔の王様の格好をした男性がベンチで向かい合って座っている
公園のベンチで座って本を読んでいる女性

「ロスト・キング 500年越しの運命」(2022年)サリー・ホーキンス主演 スティーヴン・フリアーズ監督

一人のまったくの素人の女性が、長らく未発見のままであった英国王リチャード3世の遺骨を発見する歴史的快挙を成し遂げた、実話を基にした作品です。これは終始ずっと興味深い話が続いて、特に突出した瞬間てのはないんですが、権威や地位に依らない、ただの歴史オタクが偉業を成しとける、その姿を温かく描いていて最後ふわっと涙が出ます。

一面にメモや記号が書かれた紙が貼られた壁に向かって立っている女性の後ろ姿

「ロングレッグス」(2024年)マイカ・モンロー、ニコラス・ケイジ主演 オズグッド・パーキンス監督

現代版「オーメン」にニコラス・ケイジが主演と聞いたら駆けつけないわけにはいかなかったホラー作品。新人FBI捜査官が一家連続殺人事件を追うという(なんかどっかで知ってるなぁ)サイコ・スリラーをキレキレの映像美で見せていくんですが、いつの間にやら、なんかわかんないけど気持ち悪い、訳のわからないキモさとオカルトがわんさか襲ってきてギャーッとなります。とにかく私としては、ニコラス・ケイジが最高で最上級の記憶から消せないキモ演技を魅せてくれた数々の瞬間に奇跡を感じて億満点です。

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