アガサ・クリスティ原作、ミステリー小説の傑作シリーズ「ミス・マープル」のドラマを何十年かぶりに見返していて、昔は大して気にしていなかったさまざまなディテールが画面上でキッラキラに輝いて見えて今興奮しています。
初めて見たときは10代の頃だったので、思春期の名物ひねくれ根性が発動して、ミス・マープルよりもポワロさんのほうが硬派だと思い込んで断然ポワロさん派だったことを覚えていますが、歳を十分に取って改めて見直したミス・マープル…めちゃくちゃ素敵!
もはや生活スタイルが老人に近づいてきているから、ではなくて、ほんとにミス・マープルの魅力に未熟な自分が追いついていなかっただけだと思いたいので再確認お願いします。
以上、1984年〜1992年のジョーン・ヒクソン主演のBBC版と、2004年からITVで放映されたジェラルディン・マクイーワン主演の、2つのドラマ版から抜粋しました。
ミス・マープル(本名はジェーン・マープル)は、田舎の誰もが知り合いみたいな小さなコミュニティのなかで起こる殺人事件を、優しく温厚で、町の誰もが信頼する老婦人、ミス・マープルが卓越した洞察力と観察力、そしてなにより人の口から出てくる噂話を逃さずキャッチして(ミス・マープルの捜査現場はティールーム!)、見事に手がかりを見つけて警察すら辿り着けなかった犯人を解明する名探偵ものです。
田舎、コテージ、ガーデニング、アフタヌーン・ティーなど画面の華やかさに「あら、素敵。あら、可愛い」なんていちいちウキウキしていると、突如凄惨な殺人事件が巻き起こるのでご用心ください。隣のよく知るあの人の本当の顔を知らなかった…みたいな後味悪い系の話も多くて、「もう誰も信用できない!」とどんよりしちゃいますが、ミス・マープルに穏やかな笑顔で「人はそういうものなのよ」と諭されてなんとか落ち着けます。