
特にこれまで美術とかデザインの勉強などしてこなかったので、普段目にする多くのデザインも感覚的に気に入っているだけなのですが、デザインを生み出す側のほうは、めちゃくちゃいろんなことを考えて世に出しているんだ、という極々当たり前のことを教えてくれるウェブ記事にいろいろ出会いました。
ノーマン・ロックウェルに持っていたイメージがひっくり返った
アメリカの普通の人々を描いた国民的イラストレーター、ノーマン・ロックウェルの絵は、一度は誰もが目にしたことがあるんじゃないでしょうか。前々から彼の写実的で現実をそのまま切り取ったみたいな絵に、「めちゃくちゃ絵が上手いなぁ」というアホみたいな感想しか持っていなかったのですが、なんと彼はすべて絵の構成を前もって考えて、家族や友人知り合いをモデルにしてポーズを取らせて撮った写真を基に描いていたと、今回初めて知りました。すごい。そりゃリアルになるわけだ。





昨今炎上しやすいデザイナーのトレース問題とか正直目くじら立てすぎなのでは…と個人的には思っていた派なんですけど、ノーマン・ロックウェルのプロ意識を知ってしまった今では揺らいでいます。
詳しい解説などは、ノーマン・ロックウェル美術館が制作したこちらの記事を読んでいただくとして、これまでずっとアメリカの古き良き時代を描く大衆向けアーティスト(「三丁目の夕日」的な)、などと勝手に決めつけていたら、じつはとても風刺の効いた社会的&政治的なテーマを数多く扱っていると今回知りました。
とくに黒人差別問題に関して多くの作品を残しているようで、公民権運動の象徴的なイメージとなりうる何枚もの素晴らしい絵を初めて見て、これまでの私の浅はかな認識を恥じました。決めつけすみません。
報道機関だからこそ、Real(本物)にこだわるビジュアルデザイン



こちらはイギリスの主要新聞のひとつ、The Guardian(ザ・ガーディアン)の、主にデジタル版の誌面デザインを担当するエディトリアルチームにインタビューした記事から。
以前から感じていたのですが海外のニュースサイトとか見ていると、異様にビジュアルデザインが凝っていて、選挙特番とかたまに見たりすると、とにかく視覚的なわかりやすさにびっくりします。
それも納得というか、各報道機関に専門のビジュアルチームがいるんだ、というのがわかった記事でした。
ガーディアンのデザインが、手で切って貼るコラージュの手法をとっているのは、フェイクニュースや偽情報がはびこる世の中で、実際に手を使うクラフトという現実の表現にこだわっている、と語っていて、当たり前だけど、ただかっこいいアート作ってるだけじゃないんだ、と感心しました。
デザインのプロだけが作るなんて馬鹿らしい、クラフトは自由でOK





最後は「Shitty Craft Club」というアメリカ人コメディアンのSam Reeceさんが2023年に出したクラフト本で、デザインセンスなんか気にしてないで、楽しく変で作りたいものを作ろう! という内容です。大量のビーズやポンポンをグルーガンでありとあらゆるものにくっつけて、圧倒的に派手でTacky(悪趣味)なオリジナルを作っています。
SamさんがTikTokで自分の作品を公開しているうちに大人気になって、Shitty Craft Clubを立ち上げてさまざまな場所でみんなでクラフトする会を開催したりしています。
完璧であることを目指すのではなくて(Anti-Perfectionism)、馬鹿げたものを作るのが大事(Making Silly Things)、というのがモットーで、みんなほんとに楽しそうに作っている姿がネットにUPされていて、こちらもにっこりです。
Trash(がらくた、ごみ)でなにが悪い、という最高のメッセージを受け取りました。