世界中にいる篤志家&コレクターのおかげで、今やネットで昔の資料を気軽に見たり調べたりできるいい時代になりました。そんなわけで、日々なんかしらのアーカイブを見つけては興奮しているんですが、最近立て続けに出会ったものがファッションカタログ。今みたいにネット通販がなかった時代の主役、カタログ雑誌をペラペラめくっては物欲を燃やしていたのですが、マジでこんなものがあったの? と驚愕することもたまにあります。
アメリカ最大手のカタログ雑誌、Searsの古き良き(?)時代
アメリカの通販カタログ、Searsに掲載されていたクロシェ編み特集。1971年です。70年代すでにジェンダーの壁を突き破るこんな素晴らしい特集が組まれていたなんて、と驚きましたが、そういえばヒッピーの人たちはこんな格好を男女問わずしていたなぁ、なんて思い出しましたので70年代には普通のことだったのかもしれません。現代に果たして流行る日はやってくるのだろうか。
これも同じくSearsの70年代のカタログからで、子供用のロングドレス特集。もはやこんな格好の女の子は見ないし、走り回ったりできないロングスカートは時代を感じさせます。「大草原の小さな家」とかに憧れる超保守的な田舎に住むファミリーコスプレとしてなら…。
ショートパンツにソックス姿の、のび太くんファッションはここ数年日本でも若干流行っているのを見ますが、すでに60年代からホットなファッションだったとは! と驚きました。クールビズ(古すぎて今や誰も使っていないかも)として、酷暑時代の夏に流行らせてみてはいかがでしょうか。キツいかな…。
もうひとつのほうは、スーツを着ていても自由自在になんでもできる、というコピーに合わせての謎ポーズに口あんぐり。伸縮性の高いポリエステルニットを素材に使っているそうですが、スーツでこんな姿勢している人がいたら通報してしまう。
カタログではないけれど、ティーン雑誌もノスタルジック
こちらはティーン雑誌の「Seventeen」1970年代頃のページからですが、大人向けになるとちょっとロマンチックな可愛さがあってアリかもしれないカントリーロングドレス。セブンティーンは本国版も日本版も現在でも発行していて、チラッとのぞいたら女の子たちが元気で楽しそうにしているのが眩しかった。
「どれどれ最近の若いもんは」というマインドでしかもう見れませんが、読んでみたくなって日本版の試し読みがあるのを発見。しかし字が小さいのにビッシリ隙間なく書いてあって、しかも色が淡すぎて、老人の目には何も入ってきませんでした。ガックリ。でも、可愛いとクールさの中間みたいな爽やかな空気は感じとりました。
ニューウェーブ・ファッションのカタログ雑誌もあります
うって変わってこちらは1980年代のニューウェーブ・パンクファッションのカタログ雑誌、「BOGEY’S UNDERGROUND FASHION」から。ロンドンから仕入れたパンクファッションをアメリカで売る、ニューヨークが拠点の会社が出していた雑誌だそうです。なんかこのファンジンみたいな手作りデザイン、いいなぁ。
プレッピーカジュアルの最高峰、J.Crewのカタログ
アメリカのカジュアルブランド、J.Crewが80年代くらいから出しているカタログの表紙です。完璧すぎて、「こんな世界がどこかにあるんだろうなぁ」とポカーンとするばかり。こんなおしゃれカタログを無料でくれるなんて、と早速頂こうかと思ったら(貧乏丸出し)、なんと2008年に日本から撤退していて、本国でもコロナ禍で破産申請しているとか!
高すぎないけれど安くもない、この価格帯のブランドは今すごく大変だろうなぁと想像できますが、やはりこのaristocratic(貴族階級的)な、おしゃれすぎるイメージ、見るだけなら最高なんですけど、実際に買うとなると、眩しすぎてそのうち目が見えなくなるので手が出ません。