毎度いってますけどネットで偶然出会った興味深い画像から、思いもしなかった初めて知る新情報に出会える興奮。今回もまた出会いました。きっかけは、以前から好きで見ていた昔のフード系のビンテージ写真をあさっていたら、なんかスゴイ、過剰にデコってるフード写真に出くわしたこと。
恋人たちのための甘すぎるレシピ本「The Romance of Food」
1984年に出版された、Barbara Cartland(バーバラ・カートランド)による料理本「The Romance of Food」で、170ページにわたって頭がくらくらしそうなくらいキッチュで壮麗な料理(とテーブルセッティング)の写真が溢れているようです。もはや現実離れした料理の数々に口あんぐり。こんなの作れるかい! などと怒る人は野暮ってもんで、これはコンセプチュアルアート本なんです(多分)。
そのコンセプトとは、恋人同士がロマンチックな雰囲気に浸れる食事の時間を演出するためのレシピ本だそうで、写真の下にはバーバラさんのコメント入り。
例えば画像3枚目のブドウだらけのお皿には「ぶどうとワインが二人の目に輝きを、唇に笑顔を届けてくれます」とか、画像4枚目のピンク祭りのピンク・チキンと題された料理には「ピンクのソースとローズクオーツのチキン、そして彼が「愛してる」と言ったときに、あなたの頬がピンクに染まります」
ロマンスの女王と呼ばれたイギリス人作家、バーバラ・カートランド
などと、読んでるこっちも恥ずかしくて赤面しちゃう激甘文章を書いている作者はいったいどんな人なのかと調べたら、イギリス生まれのロマンス小説の女王(Queen of Romance)と呼ばれる方でした。
1901年イギリス、バーミンガムで生まれ、生涯でなんと723冊もの作品を世に残してギネス記録も持っているという多作な作家であり、執筆以外にも社交界の華として名を上げ、後にテレビ出演や政治活動にも乗り出し、2000年にお亡くなりになるまで、おそらくイギリスでは知らない人がいないであろう著名人だったようです。
ロマンス小説に関してほとんど知識がないんですが、日本でいうレディースコミックの小説版とか、アメリカでいうハーレクイン・ロマンスとか、主に男女のやや古めかしい大衆恋愛小説という、かなり世界的に人気のある一大ジャンルで、バーバラさんの作品も邦訳版がたくさん出ています。タイトルだけ見たら「公爵と甘やかな復讐」「公爵の身代わりの花嫁」「政略結婚は恋のはじまり」などなど、女性向けの恋愛ファンタジーがむきだし状態で、カーッと顔が赤くなっちゃうタイトルがずらり。
しかもあの「ベルばら」の池田理代子さんがかなり熱を入れている作家だったようで、小説のコミカライズを手掛けていたり、自伝「星をつかんだ女〜世界一のベストセラー作家バーバラ・カートランド自伝」の翻訳をされていてびっくりしました。
ピンクがお好きだったみたいで、私生活でもピンクまみれ&ゴージャス。ご自身のロマンス小説を地で生きた方だったんですね。ちょっと日本でいえばデヴィ夫人を思い起こさないでもない、この目が潰れる絢爛豪華さと、いい意味でのフェイク感。上の肖像写真のすべてに写っている小型犬の、なんにも気取ってない、むしろボンクラな瞬間を捉えているところが個人的に好感度大。
あとバーバラさんの娘さんが、なんとダイアナ元皇太子妃のお父さんと再婚されて、ダイアナが義理の孫になったというセレブゴシップも拾いました。
やはりなんでも、とことんやりすぎちゃうエクストリームな人、最高だなぁ。ロマンス小説のほうはあんまり興味ないけど(すいません)、自伝本は面白そうなので読んでみたいです。