ファンタジーやホラー映画などが好きだと自然とそのルーツにあるオカルト寄りの民間伝承や土着の宗教なんかにもなんとなく興味がいってしまうもので、最近出会った「Weird Walk」というイギリス各所の古代の遺跡やフォークロア(民間伝承)を紹介するZINEに夢中になってしまいました。
イギリス各地のフォークロアや神話を歩く「Weird Walk」
「古代の道や神聖な場所を訪れることによって、そこにかすかに残る魔法を感じてほしい」という趣旨で始まったこちらのZINEは現在までに7号出ていて、毎号イギリス各所に残っている遺跡や伝承を巡るトラベルガイドになっています。
イギリスといえばのストーンヘンジを始めとする誰がなんの目的で作ったのかさっぱりわからないけど神聖な場所として崇められている新石器時代の遺跡群や、春分や夏至を祝うお祭りや、ドルイド(古代ケルトの祭司)の伝承、大昔から姿が変わらず残っている古代の森林を訪ねてみたり、フォークロアを研究する学者や作家等へのインタビュー記事などが掲載されている濃密な内容のようです。
などと、実際のZINEを手に取って読んでいないので、浅い紹介にしかならなくてすみません。
別冊特集号&グッズにも興味深いものがたくさん
なかでも私が大興奮したのがこの別冊「Ritual(儀式)」(タイトルもいい!)。私の生涯ベスト映画トップ10に入る「ウィッカーマン」を大フィーチャーして、映画の舞台となったスコットランドのSummerisle(架空の場所です)を放浪する号。物語のソースとなった神話や儀式や伝承を紐解いていく内容になっているみたいで今すぐ読みたいです。
別冊としては他にもあのレイライン(Leyline/古代の遺跡が直線上に並んでいること)を特集した号もあって、地脈とかパワースポットとかあんまり信じてない私ですが、オカルト的な読み物として面白そうなので興味あります。
グッズにも気になるものがたくさんあって、ちゃんと今風のデザインなんだけどモチーフが古代なのがニヤリ。ストーンヘンジのはトートバッグもあります。
Folklore Activistを名乗るフォークロア専門のアーティスト、Ben Edge
さらに気になったのは、イギリス各地のお祭りやフォークロアを描くアーティスト、Ben Edgeの作品集「Folklore Rising」と、Weird Walk独自で彼を特集した特別ZINE「Folklore Activist」をプラスしたセット。Benさんが掲げる「Folklore Activist Manifesto(フォークロア運動家宣言)」というものが書かれているらしいんですが猛烈に気になる。私も(詳しくないのに)Folklore Activist名乗ってみたいくらい、響きが素晴らしい。
イギリス人画家のBen Edgeさんは子供の頃からフォークロアの物語に興味を持っていて、ロンドンでドルイドの儀式に偶然出会ったことから、イギリス各地で行われている季節ごとのお祭りを巡り始め、それを絵にすることに夢中になっていったそうです。
写実的なんだけど、どこかフォーク・アートにも通じる素朴さも感じられる絵だな、と思いました。
さらに彼は音楽活動もやっていてアルバム「New Tradition」は、彼が各地で出会ったお祭りからインスパイアされたものとなっているそうで、ほんとにド直球のフォークロックでした。
そして彼のミュージックビデオを見てみたら、彼自身が各地で撮ってきたお祭りの映像集で、見たこともないような奇祭の数々が動画で見れて大興奮! 貴重な映像ありがとうございます。
いちばんうえの馬に乗った花飾りの人間の画像は、ダービシャーで行われているCastleton Garland Dayというお祭りで、5月29日に行われていて、起源はケルトの古いお祭りだという人もいれば、18世紀か19世紀のキリスト教起源のお祭りだという人もいてあんまりはっきりしてないみたいですが、花を飾った円錐形の被り物をして馬に乗ったGarland King(花飾り王)を先頭に、後ろに女性の配偶者と周りに鈴を持ったお付きのダンサーが続いて街を練り歩くそうです。
街の要所要所で音楽に合わせてダンスをしたら最後に教会の尖塔に花の被り物を飾って終わり、というお祭り。見た目も派手で可愛いので、これを見に行く旅行客も増えているそうです。私も一度は見てみたい。
そういや、びっくりするぐらいの大昔にじつはストーンヘンジ見に行ったことがあって、そのときは「なんかでかい石だなぁ」ぐらいのアホみたいな感想しか持てず、神秘を感じなかったのですが、「Weird Walk」のストーンヘンジ号読んだ後ならもうちょっと感慨深い体験できそうな気がします。