森の丘に座る女性のイラスト
culture

繊細で過剰で狂った美

ある日見かけたスコットランドのアーティスト、ジェシー・マリオン・キングのイラストに心奪われました。1875年生まれの大昔の方で、グラスゴー美術学校(Glasgow School of Art)で学び、グラスゴー・ガールズ(The Glasgow Girls)という女性アーティストのサークルにも所属し、グラスゴー美術学校に同じく存在したザ・フォー(The Four)という建築家マッキントッシュらがいたサークルとともに、スコットランドのアールヌーヴォーの発展に多大な影響を与えた一人だとか、すごい経歴を後で知ってビビってますが、細い線と淡い色合い、そして過剰なまでに細部を描き込む彼女の作品、ちょっと見惚れます。

馬車のイラスト
庭で遊ぶ8人の子供のイラスト
花畑に立つ人のイラスト
ボンネットを被った女性と庭のイラスト
ブラックポピーと二人の人間のイラスト
女性と花の挿絵イラスト

100冊以上の本や絵本のイラストを手掛けてきたそうで、花と女性が多く描かれています。構図もすんばらしいんですが、ありとあらゆる細かいディティールまで描きこむ彼女の絵は虫眼鏡持って見たいくらい。

幼稚園の壁絵のイラスト
image via National Galleries Scotland

こちらは彼女がフランス、パリに住んでいたときに「Art For Children(子供のためのアート)」という展覧会のために保育園のデザインをしてほしいと頼まれて描いたもの。この絵の通りに実物が作られたらしく、窓はステンドガラスで、壁の真ん中には「かえるの王子様」の物語が絵で描かれていて、その上には本棚があるという作り。実物見てみたい!

「mummy's bedtime story book」表紙
椅子に座って縫い物をする女性のイラスト
image via Jonkers Rare Books
妖精二人と庭のイラスト

子供のための絵本も出していてこちらの「Mummy’s Bedtime Story Book by “Marion”」は全ページフルカラーの挿絵入り。レア本なのでけっこうなお値段で買えるみたいです。

image via Jessie M King

絵以外にもアクセサリーや陶器、テキスタイルのデザインなども手掛けていて、こちらのマグカップも彼女の作品。ササッと描いたような絵と底のサイン代わりのウサギが可愛い。どうやら陶器の底にウサギを署名としてどの作品にも描いていたようです。

いつかこのグラスゴー美術学校のアーティストを特集した展覧会とかやってくれたら即時駆けつける準備はできています。

Mad Hatter(1940)
大きな帽子を被った女性のアニメ
机に座って本を読みながらおやつを食べている女性のアニメ

話は変わり、こちらは1940年に作られたアニメーション「Mad Hatter」。といっても「不思議の国のアリス」のマッドハッター(いかれ帽子屋)とはまったく関係なくて、一人暮らしの女性メイジーが朝起きて会社に出勤して会社帰りにデパートの帽子売り場で帽子を買うという7分ほどの短いシンプルなストーリーなのですが、メイジーが買ったオーダーメイドの帽子をデザインして作るのは檻に入れられた狂人たち、という摩訶不思議な物語。

わけがわからないよ…と思っていたら、コメント欄を読むと答えがそこに! その昔、帽子の材料の皮やフェルトを扱うときに硝酸水銀を使用していて、そのときに出る水銀ガスを吸い込んだことにより神経症状が引き起こされ、当時は原因もわからずただ狂人扱いされていたことから、mad as a hatter(頭がおかしい)という慣用句まで生まれたということを。恐ろしや。

アニメの最後で、帽子屋たちはかつては普通の男たちだったけれど、帽子を作るために人生のすべてを犠牲にして日々帽子を作っているのだ、というナレーションが入っていて、なんかしんみりしちゃう。とはいえ、ドタバタ喜劇っぽい前半のドライブ感とか、帽子の常識はずれのデザインとか、いろいろぶっ飛んだ勢いも最高で、かつ感慨深い中身もある、出会えてよかった作品でした。

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