
シスターフッド万歳!ドラマ&映画
ものすごく楽しみにしていて、もしかして期待外れだったらどうしよう、という不安から、見るのを後回し後回しにしていたドラマ「POSE」をシーズン2まで奮起してまとめて鑑賞した結果……最高でした〜〜。すんばらしい感動が待っていました。ありがとうライアン・マーフィー(プロデューサー)。



「POSE/ポーズ」(2018年〜2021年) シーズン3完結 MJロドリゲス主演
80年代のNYに華咲いたボールルーム・カルチャーと、そこで生きるLGBTQ(主にアフリカ系&ラテン系)を描いたドラマで、テーマに沿ったドレスアップとパフォーマンスを競い合うきらびやかなボールルームのこととか、マザーを頂点に居場所を失くした人たちが擬似家族を作り上げるハウスというシステムのこととか、当時のカルチャーをドラマを通してたっぷり学べる楽しさもありますが、私がいちばんグッときたのが、伝統的な枠組みでしか考えられない人には理解されなくても、ほんとうに心の通った強くて本物(authentic)の「絆」「家族」「愛」を彼ら彼女らこそが持っているんだ、ということ。特にシーズン2では、女性たちの友情と絆にフォーカスを当てたエピソードが増えて、「女の敵は女」じゃない、女を助けるのは女なんだというシスターフッドがみっちり描かれていて感動が止まりませぬ。
ほかにもボールルーム(ヴォーギング)といえばマドンナの大ヒット曲「VOGUE」はここから生まれたわけですが、当事者たちはどう思っていたんだろうってその当時の雰囲気がわかるエピソードや、HIVの暗い影が差した時代に生きる絶望と希望の両方が描かれたり、LGBTQのなかにもある男中心社会に疑問符をつけトランス女性たちの尊厳を守り賛美するエピソードがあったりと盛りだくさんで毎話毎話心がグラングランに持っていかれて大変。でも楽しかった。

登場するすべてのキャラが素晴らしいんですが、わけても私のお気に入りはエレクトラ様(画像上)。わがままで高飛車で高級志向で人の意見はまったく聞かないザ・クイーンの彼女を、どんどん好きにならずにいられない(byエルヴィス・プレスリー)エピソードが続いて、ついには女王様が次何をするのかワクワクするぐらい夢中に。そしてほんとにキレイで見ていてうっとり。あと、主人公ブランカの80年代!なファッションも毎回可愛くて(心の眼に)メモってました。


「札つき女」(1937年)ベティ・デイヴィス、ハンフリー・ボガード主演 ロイド・ベーコン監督
シスターフッドといえばで連想した、最近見たベティ・デイヴィス主演の昔の映画「札つき女」。実在のギャングと州検事をモデルに描いたギャング映画で(といってもアクションシーンは少ない)、ギャングが経営するクラブで働く女性たちが不正を暴くために団結し立ち向かうお話。自分たちの雇い主である男たちの理不尽な暴力と支配に、最初は自己保身から口を閉ざすことを決めた女性たちが、取り返しのつかない事件をきっかけにお互いを助け合うことで正義を成すという、MeToo運動はすでに大昔からあったんだ!と驚く映画でなかなか良かったです。ラスト、裁判の場で脚光を浴びたのはハンフリー・ボガード演じる男の州検事ではあるけど、本当のヒーローは危険を顧みず証言の場にたった女性たちなんだという演出もグッときました。

「黒蘭の女」(1938年)ベティ・デイヴィス主演 ウィリアム・ワイラー監督
ついでにベティ・デイヴィス繋がりで、「黒蘭の女」も良かったです。アメリカ南部のお嬢様育ちのベティ・デイヴィスが自分の意見を決して曲げないやや高慢な性格で、それ自体は悪いことじゃないんだけど、時代的に受け入れられずに、好きな男性には呆れられてしまい、結局周囲からどんどん隔絶していく様子を残酷に見せつける恐怖のメロドラマ。でも、自分の気持ちを貫き一人の男を愛し続けた、その意志の強さが孤高にまで昇華されていくラストがあるので、ある意味ハッピーエンドです。私は私、自分は変えられない! 変わるのはあなたよ!というキャラやらせたらピカイチですね、ベティ・デイヴィス。

