Gilbert Adrian 羊のドレス広告ページ
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アメリカの欲しがりません勝つまではのレベルが違う

以前、驚愕の虫ドレスの記事を紹介したファッションの歴史サイトFashion History Timelineを引き続き読みふけっていて発見したのが、アメリカのハリウッド映画黄金時代の衣装やハリウッドスターのドレスを数多く手がけたことで有名なデザイナー、ギルバート・エイドリアン(Gilbert Adrian)が戦時中に作っていたドレスの数々を紹介したページ

1903年にコネティカットで生まれたギルバート・エイドリアンは1925年からハリウッド映画の衣装を作り始め、MGMの衣装部門のチーフとなってグレタ・ガルボやジョーン・クロフォード、ジーン・ハーロウらを手掛け、なかでも有名なのが1939年「オズの魔法使い」でドロシーが着たギンガムチェックのドレス。

オズの魔法使いドロシーのドレス

第二次大戦中に作られていたため、「暗い時代に幸せと希望を象徴する」目的で作られたドレスだったとか。

Gilbert Adrian フィラデルフィア物語の衣装

あとこの1940年「フィラデルフィア物語」でキャサリン・ヘプバーンが着たドレスや、

1932年「令嬢殺人事件(Letty Lynton)」でジョーン・クロフォードが着たこの白いモスリンのドレスは当時大流行してコピー商品まで大量に出回ったそうで、ハリウッド女優がファッションリーダーでもあった時代においてエイドリアンのデザインしたドレスを着たいわ~~!という女性たちであふれ返っていたことは容易に想像できますが、なんつ~てもセレブのドレスは一般人には金額的に敷居が高い、そんなときになんとエイドリアンさん自らが1942年にお店をビバリーヒルズに開店。しかも普通の人が買って着られる普段着までデザインして売り出すという、商魂たくましい、あいや、ビジネスセンスも抜群なところを見せつけます。

Gilbert Adrian イブニングドレス
image via The Met

こちらがお店で売られていたもののひとつで、青空と草原で遊ぶ羊のプリントがふわりと広がる明るくハッピーな雰囲気のドレス、今でも十分人気が出そうなデザイン。しかも1942年という戦争真っただ中に作られたもので、当時アメリカではGeneral Limitation Order L-85という洋服に使われる布の量や長さを制限した戦時下規制があったそうで、ファッション業界には政府から「国民が今持っている服で満足するように、新しい流行とか作るんじゃないぞ!」というお達しまであったらしく、エイドリアンさんもきっちり政府のルールを守ったうえで、いかに気持ちが明るくなるようなドレスを作るかを模索したようです。

Gilbert Adrian Egg and I ドレス
Gilbert Adrian ドレスのイラスト部分
image via irenebrination

こちらは1947年の「The Egg and I」ドレス。鶏と鶏小屋がプリントされています。かわいい。動物モチーフがお好きだったのか、

Gilbert Adrian 馬のプリントドレス
image via The Met

こんな馬を大胆にあしらったドレスなどもあります。あと記事によれば初代アメリカ大統領ジョージ・ワシントンが馬に乗ったイラストをプリントしたドレスも販売していて、戦時下での愛国心を示すためのものだったのではと言われています。

さまざまな戦時規制のなかで、似たようなことは日本でもあったのに、こちとら「欲しがりません勝つまでは」の清貧思想になって、結局竹やりとか持ち出してこりゃダメだ~てなるのに、一方のアメリカはというと「オズの魔法使い」作ったり、こんなハッピーなドレス作ったりしてるんだから、勝負はここでもついていたのかと思うとガックシ…。記事のなかでも「政府がいくら女性に地味さを要求しても、こんな時だからこそ心から楽しくなれるドレスを着るのである!」とか当時の新聞に書いてあったとか読んで、レベルのあまりの違いに愕然としました。

image via The Met

こちらは1945年のModern Museumコレクションで、ピカソやジョルジュ・ブラックらキュビズム絵画にオマージュを捧げたシリーズの1作。今でも売れる!

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