ビートルドレス袖
style

虫嫌いは絶対に着れない19世紀の虫の羽ドレス

ファッションは過去のブームが回りまわって蘇ることがあるといわれますが、絶対に蘇ってこないだろう過去のとんでもない流行りをネット上の記事「BEETLE-WING EMBROIDERY IN NINETEENTH-CENTURY FASHION」で見つけました。こんな奇抜すぎるデザインがあったことすら知らなかったのですが、19世紀の英国、アメリカ、オーストラリアで流行っていたというインドにルーツを持つ、甲虫類の羽、というか羽を守る外の硬い鞘翅(Elytra/しょうし)を刺繍パーツとして使うBeetle-wing embroideryというものです。

甲虫羽パーツ
image via UKNT

この(画像上)玉虫色にキラキラする(きれい~)羽を大胆にもドレスにがっつり縫い付けるというのがそれ。

インドのビートル刺繍ドレス
image via VAM
ビートル刺繍のパンプス
image via BSM

ムガル帝国時代のインド(1526-1857)で始まったとされるビートルウィング刺繍はとくにジャイプルでアートとして発展していき、羽を細かく砕いてビーズのように使って刺繍する手法がメインだったようです(画像上)。これが、当時インドを植民地としていたイギリス人たちの目にとまり、現地のイギリス人たちが身に着けるようになり、次第に輸出商品としても扱われるようになって1820年代に最初のブームが訪れたそうです。

ビートル刺繍イブニングドレス
ビートル刺繍ドレス
ビートル刺繍
image via la gatta ciara

当然ながら西洋のファッションに合わせてデザインも変化していき、インドの繊細な小さなパーツとしてのビートルウィングが、なんともうそのまんまどか~んと付けちゃえ!のスタイルに(なぜ…)。1830年から1880年くらいまでこのスタイルが主流だったようです。なかにはなんと5,000枚もの羽を使ったドレスもあったり、そのダイナミックさにビックリ。ビクトリア朝に流行ったnaturalism(自然主義)も手伝って、昆虫=自然!の流れがさらにブームを盛り上げたのでは、と。今なら炎上間違いなし。

ピーコックドレス 後ろ姿
ピーコックドレス刺繍
image via Antique Trader

最盛期は19世紀だったようですが、20世紀に入っても一部人気は続いていたそうで、インド総督夫人であったLady Mary Curzonが1903年のパーティで着た、この(画像上)ピーコックドレスは、クジャクの羽を模した超密刺繍の中心にビートルウィングをあしらった絢爛豪華がすぎる逸品。なんか魔法とか使えそう。すんごい重さもあったというこのドレス、実用性の時代へと移り次第に消えていったビートルウィング刺繍は、舞台のステージ衣装や映画の世界で生き続けることになります。

マクベスドレス
image via UKNT

こちらは1888年のマクベス夫人の舞台衣装。ビートルが全身でキラめいています。この衣装は舞台を見たオスカー・ワイルドや画家のジョン・シンガー・サージェントが絵に残していたりと、人々の目を強烈に奪った模様。

白雪姫のコスチューム
image via WWD

最近では2012年の映画「スノーホワイト」でシャーリーズ・セロンが着たこのコスチュームが虫。

現代ではフェイクのビートルウィングを使った高級ファッション服なども作られているようですが、カジュアルなファッションとしての復興は、難しそう…。

以上、例によってちゃんとした人が調べた記事をまんまただ翻訳して紹介しただけではありましたが、おもしろファッション歴史ネタとして楽しんでもらえたら幸いです。このネタ元のFashion History Timelineは、Fashion Institute of Technology(ニューヨーク州立ファッション工科大学)が学術的な目的として公開してくれているファッションに関する歴史的な記事がわんさかあって、どれもこれも興味深いものばかりで興奮しております。またなにか見つけたら紹介できたらなぁとぼんやり考え中。

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