
超絶すぎて異様にまで見える恐ろし彫刻
たまに覗いているV&A美術館のウェブサイトで発見した、一見したところ何なのかわからないけど超絶にキレイな一品が、イギリスでは、というか世界的にも有名な17、18世紀に活躍した彫刻家Grinling Gibbonsの作品でした。ウィンザー城やセントポール大聖堂の彫刻で知られ、木の彫刻を多く手掛けたことから「木彫りのミケランジェロ」と呼ばれるとかなんとか、経歴も超絶なお方でした。

一体これは…!?となったものがコチラ(画像上)。cravat(クラバット)という17世紀の男性が首に巻いていたスカーフを彫刻で再現したというもの。すごすぎ~。説明によると顧客に自分の技をアピールする見本として作られた作品だそうです。こんなの見たら即契約。あと、ほんとに木彫りのクラバットを身に着けたパトロン貴族もいたとか、酔狂がすぎます。

肖像画を飾るフレームだけれども、主役よりフレームの主張が勝っている。動物と花の狂乱。

ちょっと控えめなこざっぱりバージョンのフレーム。本来の目的の中に飾るものがなくても、これだけで十分鑑賞に堪える出来で良い。

果物と花が彫られていて、overdoorという戸口の上の飾りだそうです。どうやら真ん中にあった紋章が紛失しているようだけど、十分見ごたえあり。あとなんかちぎれそうで怖いくらい繊細&緻密。


セントジェームズ教会の彫刻。Grinling Gibbonsは、この明るいライムウッドを気に入ってよく使っていたそうです。リンク先にもっと詳細に近距離で撮った画像たんまりあるので興味ある人は見てみてほしいですが、もうどうやって彫ったんじゃ~と思わされるような重なり合い、盛り盛りに立体的なその姿にうっとりというより、すごすぎてもはや恐ろしい。


こちらはケンブリッジのトリニティカレッジの図書館(Wren Library)内の彫刻作品。なんかちょっと華やかで可愛い雰囲気。


ナショナルトラストが保護しているPetworth House(17世紀に建てられた屋敷で貴重かつ豊富なアートコレクションを保有しているそうです)の展示品のなかでもThe Carved Room(彫刻部屋)と名付けられた、壁一面Grinling Gibbonsの超絶彫刻で飾られた一室がこちら。もうなんか密に密を重ねた彫刻だらけで、こういってはなんですけど、技を極めてしまうともう気持ち悪い域に達するいい例(いい意味で)。


そんな天才彫刻家Grinling Gibbonsを愛する現代の人々のなかから、こんな木彫りのブローチをオマージュとして作っちゃった人も現る。ダンディな叔父様がこんなんサラッとつけてきたら感動する。

