
もやもやが晴れないドラマと映画
見た後にずし~んと重いもやもやが残り続けるドラマや映画を見ることが続いて、湿度の高い不快指数MAXの猛暑の辛さが倍掛けされました。冷房の効いた快適な環境で見ることをおススメしたい、ちょっと重めの作品いくつかです。気分は重くなるけど見始めるとやめられない止まらない。

「クリミナル:イギリス編」(2019年)
ほぼ警察の取調室での尋問のみでストーリーが進む一話完結の推理ドラマです。フランス、スペイン、ドイツ編もあって、まだイギリス編しか見てないのですが、ミステリー小説好きならすぐハマること間違いなしの警察と容疑者の心理戦の緊迫感がどえらいです。もしかしたら冤罪かもしれない、とか、犯人に違いない怪しさ満載、とか毎話毎話の個性豊かな容疑者を、こちらも推理しながら見ることができて、真相が明らかになるラストにビックリしたりズッシリ疲れたり。なかでもジョン・スノウことキット・ハリントンがセクハラで告発された上司役で出てくる回は、私も最後まで冤罪か?やっぱやってるか?とまったく読めない展開が続いて、最後にはいろいろと考えさせられる結末にゲッソリするほど疲れました(少ない頭脳が)。社会問題もたっぷり反映させてお見事な脚本。netflixで配信。

「隣人は悪魔 -ナチス戦犯裁判の記録-」(2019年)
netflixのドキュメンタリーミニシリーズで、題名で丸わかりのとおり、ナチス強制収容所で暴虐の限りを尽くしたイワン雷帝の異名を持つ看守が、戦後アメリカに逃げクリーブランドで暮らす老人だという告発を受け、イスラエルで裁判を受ける一部始終を追った作品です。本当にこの家庭を持つ幸せそうな老人があの恐ろしいイワン雷帝なのか?実際の裁判の映像や関係者の証言から次第に明らかになる二転三転する事実に、こんな残虐な犯罪を犯した悪人には必ず罪を償わせたい、という気持ちからくる自分のなかにある偏見や先入観に気づかされて、途中何度もグラグラガクガク良心が揺らぐ瞬間があって、もう大変疲れました。何十年も経った昔の罪を裁くことの難しさ、それでも必ず悪が裁かれるときは来るし、なにより被害者の声を聞くことこそがいちばん大事なのだ、というメッセージがずっしり心に残りました。全5話ですが、予想だにしない展開がどんどん続いて先が気になりすぎて一気に見れます!

「ソフィー: ウエストコーク殺人事件」(2021年)
アイルランドの田舎でフランス人女性が殺された事件を扱ったnetflixのドキュメンタリーミニシリーズ。最初のほうはちょっとのんびり話が進むというか、やや冗長だなぁ~なんて思って見てたんですけど、いきなり犯人と思われる人物の意外すぎる展開が始まって、事件が起きてから20年もの歳月の右往左往と事の顛末があまりにあっけにとられるもので驚いた作品でした。なんともやりきれない、もやもやっとする終わり方をします。

「We Margiela マルジェラと私たち」(2019年)
マルタン・マルジェラという一時代を築いた才能を支え続けた初期メンバーたちの物語といえるドキュメンタリー映画。マルジェラ本人は一切出てこなくて、彼の右腕ともいえるジェニー・メイレンスがいかにマルジェラを支えていたか、決して華やかでも順風満帆でもない、むしろ苦悩ばかり続くブランド運営の厳しさ、アートと商業を繋ぐ難しさを語っていて、あのマルジェラがそんなことになっていたとは…とビックリすることが多くて、見る前は単純にマルジェラの服たくさん見たい~なんてミーハーな気分だった自分にビシャ~ッと冷や水かけられたみたいなもんですが、これはこれで見て知って良かった。今現在あるマルタン・マルジェラは名前だけの別物になっているとも知り、ファッション業界の虚構さにげんなりする作品でもありますが、初期のコレクションやスタジオの貴重な映像もたくさんあって、今見てもめちゃくちゃかっこいいファッションの数々に見惚れることは間違いないです。

