多分見なくても大丈夫な昔のヘンテコSF映画

「月のキャットウーマン」イメージ

見る前からヤバイとわかっていても、一抹の希望を胸に見てしまう映画というのが私の場合、昔のSF映画とホラー映画とニコラス・ケイジ出演作なのですが、最近amazonプライムに大量に昔のポンコツSF映画がそろっていることを発見してしまい、わかってはいるのに一応見ることを止められない病にかかって、貴重な時間(なんてほどのものではないけど)を無駄にしたけれど、この無駄こそポンコツ映画の魅力なのかもしれない。

「姿なき訪問者」ポスター
「姿なき訪問者」劇中シーン

「姿なき訪問者」(1953年)テッド・クーパー主演 W・リー・ワイルダー監督

後で知ったんですけど、あの名匠ビリー・ワイルダーのお兄さんの監督作というから驚き。血筋なんてないんだな、と安心できる、ずっこけ間違いなしのヘンテコSFです。突如現れた未確認飛行物体から宇宙人が地球にやってくる(どうやら事故って緊急着陸ぽい)が、地球の空気が肌に合わず、深海探索ダイバー服みたいな宇宙服を着ていないとすぐ死んじゃう弱々しい宇宙人なのですが、唯一の能力(というのか?)が透明人間てことで、宇宙服を脱げば人間に発見されないんだけど、ヘルメットを脱ぐと息もできなくなるので、苦しくなってすぐヘルメット被っちゃってヘルメットだけが宙を浮いてるシーンとかギャグかと思いましたが、宇宙人は必死。果たして生まれた星へ帰れるのでしょうか…というお話。

「空飛ぶ円盤地球を襲撃する」ジャケット
「空飛ぶ円盤地球を襲撃す」劇中シーン

「空飛ぶ円盤地球を襲撃す」(1956年) ヒューマン・マーロー主演 フレッド・F・シアーズ監督

地球侵略ものの定番、ある日空飛ぶ円盤がやってきて主人公の勤める陸軍基地を襲い始め、ビコーンという殺人光線で人間を次々を抹消していくが(このシーンはわりと怖い)、人類も負けずに英知を集めた新兵器を開発して反撃していくというお話です。怖いはずの宇宙人が画像上にもあるように、おにぎり山みたいなヘルメットとドラえもんの手をしていてピョコピョコ歩くのと、主人公が乗り込んだ宇宙船の中がミニマリストが羨むようななんもない空間で(手抜きともいう)、いろいろと拍子抜けするディテール満載。そしてこちらもあの名匠レイ・ハリーハウゼンが特撮を手掛けているのですが、匠の技はどこへ…。とはいえ、ホワイトハウスとUFOのビジュアルは「インディペンデンス・デイ」よりはるかに前にこの映画でキマッていて、そこのところは良かったです。

「宇宙のデッドライン」ジャケット
「宇宙のデッドライン」劇中シーン

「宇宙のデッドライン」(1960年) ロバート・クラーク主演 エドガー・G・ウルマー監督

BEYOND THE TIME BARRIERという原題がついているように、宇宙飛行士が実験飛行から地球に帰還してみると、そこは疫病で人類の半分が死滅しミュータントが存在する未来の地球だった、というタイムトリップSF作品。なんかこの設定知ってる、「猿の惑星」だ~とお思いでしょうが、猿の惑星より前に作られてます、一応。未来世界のデザインとか、ゾンビみたいなミュータントの恐怖演出とか、わりと骨太な物語とか、低予算にしてはしっかりしてる、という高評価もあって、たしかにポンコツ感はあまり感じられない作品だったように思います。

「月のキャットウーマン」ジャケット
「月のキャットウーマン」劇中シーン

「月のキャットウーマン」(1953年)ソニー・タフツ主演 アーサー・ヒルトン監督

月に降り立った探検隊が洞窟のなかに宮殿を発見、さらにそこには黒タイツに身を包んだ女性ばかりが住んでいて、探検隊を歓迎してくれるのだが、じつは宇宙船を奪って地球へ進出する計画を図っていた、というお色気(というほどでもないけど)SFです。なんつっても月の宇宙人、キャットウーマンのビジュアルが素晴らしいです。これしか見どころないけど(ヒドイ)、あっという間にキャットウーマンの色気にコロッと騙される地球の男ってダメね~としかいえないのと、探検隊のなかに一人だけ女性がいて、彼女をめぐって船長と副船長の三角関係とかもあったり(地球の存亡時に何やってんだ)、SFなのにほぼ男女の色恋沙汰で話が進むトホホな作品でしたが、なんか憎めない。

「金星怪獣の襲撃 新・原始惑星への旅」ジャケット
「金星怪獣の襲撃 新・原始惑星への旅」劇中シーン

「金星怪獣の襲撃 新・原始惑星への旅」(1968年) マミー・ヴァン・ドーレン主演 デレク・トーマス監督

金星に不時着した(SFものでは定型文)飛行士たちが、怪獣とそれを守る美女集団から襲われる、ちょっとファンタジックなSF作品です。海で戯れる人魚チックな(貝殻ファッション)金髪美女集団とSF設定の不協和音がまずスゴイ。そしてゴムで作ったかのようなビヨンビヨンでペッラペラな造形の翼竜怪獣がキエ~ッとあまり怖くなく襲ってきたり、全体的に何をやってるのか不明な宗教ぽいイメージシーンが多数あったり、ずっと煙がかった風景で幻想的ともいえるような、わけのわからないヘンテコさが案外ツボに入る人もいるかもしれない(実は私)。なんとあのピーター・ボグダノヴィッチ監督が一部撮影していると後で知ってビックリした。

「プラン9 フロムアウタースペース」ポスター
「プラン9 フロムアウタースペース」劇中画像

「プラン9・フロム・アウター・スペース」(1959年) ベラ・ルゴシ、ヴァンパイラ主演 エドワード・D・ウッド監督

Z級カルトの神エド・ウッド作品なのでもう見た人も多いかもしれませんが、私も今回見直してもやっぱりヒドかった。地球を侵略しにきた宇宙人が、死者を墓場から蘇らせて人間を襲う「第9計画(プラン9)」を実行するという、テンプレ侵略者SFにホラー映画要素をプラスして相乗効果どころか、しっちゃかめっちゃかになっちゃった作品。ベラ・ルゴシやヴァンパイラ様の頑張りはよそに、宇宙船の指令室が教室の一室にしか見えなかったり、UFOがひょろひょろだったりのセットのチープさは不問としても、何度も似たようなシーンが繰り返されてトリップしそうになったり、意味不明なことが大挙して起きるのがほんとうにすごい。amazonにはあと「グレンとグレンダ」も配信されているので、もっと混沌の渦に巻き込まれたい方はどうぞ。

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