
ネットフリックスの映画「モキシー ~私たちのムーブメント」を見ていて呼び起された衝動、それはDIY精神の頂点、手書きとコラージュで作る印刷物(フライヤー&ZINE)の素晴らしさ。映画では、主人公が高校中に蔓延る性差別にNO!の声を挙げるために夢中で作り上げるのがmoxie(勇気、決意とかいう意味)というタイトルのZINEで、ビキニ・キルのガールパワーにインスパイアをガッツリ受けているという内容。いいぞ! 10代の怒りの衝動をアートでぶつけるその行動、応援しちゃう。ちなみに映画そのものは今一歩なところがありつつも(個人的感想です)、監督のエイミー・ポーラー好きだし、劇中でビキニ・キルをカバーしてるThe Linda Lindasもかっこ良かったし、伝えようとしてるメッセージには共感できるし、最高!ではないけどチャーミングな作品だな、と思いました。

ビキニ・キルといえばのこのアートワーク最高。映画に触発されて、あの頃の手作り感満載のフライヤーが懐かしくなり、ついネットの海で探してみれば出てきたのが、アメリカ、コーネル大学のデジタルアーカイブコレクション。なんと2000枚ものパンク系フライヤーの大量コレクションをどど~んとネット上に公開してくれています。ありがたや。主に80年代のアメリカのパンクフライヤーで、サンフランシスコ周辺のライブハウスで行われたギグのものを中心として、有名なバンドが出演しているものから無名なバンドのものまで、さらにはバンドメンバー募集のやつまであったり。







DIY精神炸裂した手書きでゆるっとしつつも、一発勝負の荒々しさがあるフライヤーの手本みたいなやつ。




大胆にフォントをコラージュした切り貼りアートもかっちょいい。








やっぱりイラストや写真をコラージュしたフライヤーもいいよね~と、好きなフライヤー選びきれません! そして2000枚も見切れません! ということで、全部見ることは断念したのですが、興味と時間のある方はぜひチェックしてみてください。さらにこのコーネル大学、ウェブ上に公開しているフライヤーはまだ一部(!)ということで、全部見たい人は直接大学に連絡して出向くと見せてくれるそうです。すごい。
で、ついでに思い出したのが、大昔に買っていた洋書「Yes Yes Y’all: The Experience Music Project Oral History Of Hip-hop’s First Decade」(2001年発刊)にも、たくさんのフライヤーが記録として載っていたこと。

ヒップホップの黎明期を、人々の証言と豊富な資料と写真でまとめたヒストリー本です。ヒップホップが生まれたその場所にいた人々の語りをそのまま羅列しているスタイルで、格式ばった文章とか分析にしない、生の歴史の記録って感じの本で、けっこうなボリュームがあって、さすがに全部読む気力体力能力がなくて、もっぱら私めはビジュアルだけで楽しんだ口ですが、写真集として見てもかなりの充実ぶり。単純に見てかっこいいものが多くて即買いした私のようなライト層(アホともいう)も大満足の本でした。



ほんの一部ですが載っていたフライヤーはこんな感じ。手書きコラージュ勢い重視のデザインと、パンク系フライヤーと共通するDIY感もありながら、ヒップホップ系にはパキッとした構成美のあるデザインも多くみられて、それぞれに特徴があるのが興味深かったです。