
モノがキレイに並べられた整頓写真
前々から、たくさんのモノが棚とかケースとか壁とかにごちゃっとキレイに並べられた風景が好きで、そういう写真とかアート作品もけっこうたくさんあってうれしい限りなのですが、最近見つけた整頓写真(と名付けていいのか?)のアーティストの作品に心奪われました。とにかく多くのモノをいかに美しく見せるか、のセンス&技がすごい。見惚れます。





雑誌や広告のスチール写真をメインに撮っているらしい写真家Brian Woodcockの作品。特に雑誌などの、1ページにたくさんの商品がわんさか詰め込められている構図が大好きで見飽きないんですけど、これは強欲を満たしてくれるからなのか、美しく整理されている気持ちよさからくるものなのか、判断が難しい…。それはともかくとして、彼の写真はたくさん詰め込まれているのに余分なものがない、これ以上なく完成された陳列の一瞬を捉えた写真でうっとりしちゃいました。




こちらは写真家Mary Ellen Bartleyの作品で、本の小口をどさっと並べただけなのに、この美しさ。本の背表紙のカラー別に収納した本棚を以前見たときも、その労力もさることながら(私だったら途中で面倒臭すぎて諦める)キレイすぎて口がぽか~んとなりましたが、ただ本がキレイに並んでいることがこんなにアートになるのはほんと不思議。落ち着く。



さらに「Reading Grey Gardens」というシリーズ作品を撮っていて、タイトルのグレイ・ガーデンズとは、アメリカ、イーストハンプトンにある人里離れた屋敷のことで、そこに住んでいたイディス親子は社会と隔絶して生きていて、彼女らの人生を捉えたドキュメンタリー映画(必見)やドラマ(これも必見)もあるくらい、かなり有名になった場所なのですが、その屋敷に残されていた本を写したシリーズ。ボロボロで色あせた背表紙の本になぜか惹き込まれます。朽ちていくものの美しさといえば、廃墟写真ブームとかありましたけど、古本写真ブーム起きてもいいのでは。
1979年にイディスから屋敷を購入した夫婦が老朽化のためリノベーションしたときに、本棚にあった本(200冊くらいあった)はすべて保存されていたそうですが、その持ち主が2017年に家を売りに出したとき、たまたま近所に住んでいたMaryさんが所蔵本の行方を心配して連絡したら、作品を撮ることを承諾してもらえたという経緯があったとか。現在のグレイ・ガーデンズはとてもキレイなカントリーハウスみたいになっていて、昔の面影はほとんどなさそうだけど、こうして記録として残されていくものがあって良かった。

