あれなんだっけ?が頻発する脳の老化現象が当たり前になってきた日常。昔見た映画もぼんやりとしか思い出せないことが多く、なんなら初めて見るかのような新鮮さで見ることもできると気付いたのが、最近見直した80年代の映画「処刑ライダー」。キャッチーな邦題だけは強烈に覚えていたのに、映画の中身はすっからかんに忘れていて、こんな映画だったか!とめちゃくちゃ楽しんでしまいました。
「処刑ライダー」(1986年) チャーリー・シーン主演 マイク・マーヴィン監督
チャーリー・シーンが主演なんてことも忘れていたくらい、もしかしたらタイトルだけ覚えていて見てもいないんじゃないかという疑惑が沸き起こるくらい新鮮な気持ちで見たこの作品、謎の黒ずくめのライダーが町の不良少年たちを成敗するというシンプルかつ明快なストーリー。冒頭からめちゃくちゃチープなSFXとハッタリの利いた謎の男現る!からワクワクしましたが、その後やってきた主人公チャーリー・シーンの初登場シーンが、上半身裸にデニムJK羽織ってティアドロップサングラスかけてバイクでジャ~ン!とやってくる、これ以上ないってくらいダサい登場(褒めている)で心がグワッと持っていかれました。好きかもしれない、この作品、と。話の内容はわりとどうでもいいくらい(ひどい)、80年代B級映画の野暮ったさと勢いと雰囲気で突き進むこの感じ、とても良かったです。
「アリス・スウィート・アリス」(1977年) ポーラ・シェパード、ブルック・シールズ主演 アルフレッド・ソウル監督
12歳の少女アリスの妹カレンが教会で、黄色いレインコートを着た少女のような殺人鬼に殺される。その後もアリスの周辺で次々と殺人が起き、一体犯人は誰なのか!?というサスペンスホラー。生理的にザワザワするような嫌~な恐怖演出がてんこ盛りで、お面にレインコートを着た殺人犯の異様さと違和感の謎が最後わかったときの後味の悪さはスゴかった。「赤い影」とか「サスペリア」「サスペリア2」とか、あの時代のホラーに共通する、むき出しなのにもやもやっとする狂気、繊細でいてあからさまで雑、無垢と残酷といった、相反するものがドワ~ッと一挙に襲ってきて、一生脳裏に焼き付くものを残してしまう作品でした。こういう、血!包丁!教会!少女!人形!なスプラッターおとぎ話大好きでございます。
ちなみにアイキャッチの画像はタイ版のポスター。なかなか素敵。