
先日amazonプライムに昔の映画がわんさか配信されていると騒いでいたのですが、本当に毎日途切れないくらい古典映画があふれています。新作映画も見たいのに間に合わない。そんなわけでしばらく昔の映画ばかり見てしまうかもしれません。最近ず~っと見ていたのは昔の日本映画。恐ろしいことに邦画の古典映画もすごい量あって大変です。

「青春怪談」(1955年)北原三枝、山村聡、三橋達也、轟夕起子主演 市川崑監督
結婚をめぐって子供と親の両世代が右往左往大騒ぎを繰り広げるラブコメ。市川崑監督にしてはスタイリッシュさは控えめ。しかし、北原三枝演じる主人公女性は、結婚よりもキャリアや友情(友情以上恋愛未満的な)を選ぶ(当時としては)進歩的な女性像が描かれていたり、異様にドライな若者たちの恋愛観も語られたりする一方で、親世代のストレートな恋愛主義の対比が描かれて、大昔の映画とは思えないくらいモダンな価値観に驚かされる! 今見ても十分笑ったり共感したりできる部分が多くて楽しめるはず。
なんつっても北原三枝の意志をしっかり持った強い女性の凛とした美しさと、彼女を慕う芦川いづみとの姉妹愛が恋愛感情すれすれなところ、そして轟夕起子の子供みたいな可愛いらしいコメディエンヌっぷりが度を越していて、すべて最高。

「愛のお荷物」(1955年) 三橋達也、北原三枝、轟夕起子、山村聰主演 川島雄三監督
あれ?キャストまったく一緒で、これまた結婚そして出産というテーマで繰り広げられるホームラブコメディ、監督だけが違うというややこしさ。こちらも親世代の家柄とか世間体にこだわる様をサラリとかわして自由恋愛を謳歌したい若者たちが描かれていて、今も昔もそんなに変わらないもんだなぁと感慨深い。最初から最後まであっけらかんとしたユーモアあふれる娯楽作。



「黒線地帯」(1960年)天知茂、三原葉子主演 石井輝男監督
今度は艶めかしく煽情的なポスターが最高!な地帯(ライン)シリーズ。犯罪組織の事件にまきこまれた男を偶然助けることになる女性、という毎回お決まりのパターンで全5作作られている犯罪アクション映画で、なかでもおススメなのが「黒線地帯」。ゲリラロケをやっていたらしい当時の本物の夜の街と三原葉子の眩さとモノクロ映像の渋みが全部奇跡のように昇華された傑作ノワール。
ほかの地帯シリーズもほぼ内容一緒(笑)だけど、三原葉子のグラマラスで茶目っ気あふれる姿に魅了されたなら(私のこと)、全部彼女を見るためだけに見てもかまわないぐらい。ていうか、三原葉子を見るためのシリーズといっても過言じゃないぐらい輝いてます。