amazonプライムには昔の映画がけっこう大量に配信されていて、しかも増えていく一方なので追いつくのに必死です。毎週どんどこ追加されているような。そんなわけで、これ見たかなぁ、見てないかもなぁという記憶があいまいになるくらい古い古典映画祭り、最近始めています。
「陽のあたる場所」(1951年)エリザベス・テイラー、モンゴメリー・クリフト主演 ジョージ・スティーヴンス監督
お金持ちの叔父一家を頼って街にやってきた青年の成り上がりの過程で起きる悲劇の物語。主人公の金と名誉と地位と美人に弱い気持ち、誰しもある程度は理解できると思いますが、超えてはいけない一線に揺らぎまくる人間の弱さにしんみりくる映画です。「出会う前から君に恋をしていた」「愛する気持ちが強くて怖いくらい。でも心地のいい怖さだわ」思わず書き留めちゃう激甘セリフで盛り上がる恋人たちを待ち受ける奈落の底。せつないラストも含め、完璧な運命劇。今見ても面白いです。
「深夜の告白」(1944年)フレッド・マクマレイ、バーバラ・スタンウィック主演 ビリー・ ワイルダー監督
保険勧誘員がある日訪れた大富豪宅で出会った夫人に恋をしてしまい、ついに保険金殺人に手を染めてしまう。影のある美女に翻弄され運命を狂わされてしまう男を描いたフィルムノワールの古典。出てくる人物全員が癖ありまくり、全編タバコの煙でいぶされているかのような渋みとざらつきが最高でした。やはり暗闇と金髪美女ってのは絵になる。惑わされた男は運命を受け入れるしかない、冷酷な世界を見事に描いてます。
「失われた週末」(1945年) レイ・ミランド主演 ビリー・ワイルダー監督
またしてもビリー・ワイルダー。重度のアル中作家の週末の数日を描いた作品なんですが、この中毒患者の描写がすさまじいのなんの。ひえ~っ!と声が出るレベルのダメ人間の行動のすべてが描写されていて、精神的に疲弊します! 依存症の恐ろしさを叩き込む恐怖映画。子供の頃に見ていたら確実にトラウマ植え付けられていたはず。古典映画のもつむき出しのショッキングさは、現代の映画ではなかなか味わえないものなので、ぜひとも感じてもらいたいぐらい。
「三人の妻への手紙」(1949年)ジョセフ・L・マンキウィッツ監督
家族ぐるみの付き合いがある友人女性4人。ある日、そのうちの一人アディから3人へ手紙が届いた。「あなた方の主人のうち一人と駆け落ちします」と書かれてあったのだ。なんちゅ~恐ろしい展開が始まるのかっ!と冒頭興奮しました。そして3人がそれぞれ自分の夫婦生活を回想していき、一見幸せそうに見える夫婦の裏側の事情を盗み見ながら、そんで結局誰の夫が?というミステリー探偵的な興味も続く構成が面白かった。脚本が見事。