
やっとこ観終わりました。長尺ドラマを! netflixの「オレンジ・イズ・ザ・ニュー・ブラック」を!!(全7シーズン) 長かったような短かったような、毎回濃密なシーズン展開で最後まで飽きずに完走することができました。

麻薬密売の罪で収監された白人女性のパイパー・チャップマンを中心に、女子刑務所で起きるさまざまな出来事をコメディタッチで描きつつ、シーズン中盤以降は現実に起きている社会問題を反映したシリアスな展開にもなっていきます。貧困、性差別に人種差別、性的マイノリティ、移民など、社会が抱える問題の縮図となった刑務所の囚人たち一人一人の人生をじっくり描くことによって(長尺ドラマの強み) 、大人数のキャラ(ちょっとしか出ていなくても)のキャラ立ちが完璧。私なんか主要なメンバー全員好きになっちゃって毎話毎話、心底同情したり悲しい気持ちになって辛かった~(特にシーズン終盤)。あと、最初ギョッとするような人物も最後には大好きになったり(私の場合は、ペンサタッキーやクレイジー・アイズやブランカにフィゲロア)、とにかく魅力的な登場人物たちばかりなんですよ!
そして、理不尽で理解できない社会の不正義に対して、個人ではどうしようもない現実をドラマを通じて突き付けられ胸が痛む瞬間も多数。こんなに登場人物の行く末が気になって本気で心配しっぱなしだったこともないくらい。このドラマでいちばん胸にきたのは、本当に悪い人間というのがいるのではなくて、いい人間になりたいと思っていても、困難にぶつかったり、なんとなくどこかで諦めてしまうことで少しづつ正義が歪められていく現実があるということ。それでも最終シーズンでは、いい人間になること、正義を求めることを諦めないことに希望があるんだというメッセージが込められていてグっときました。すんばらしいドラマだったのではないでしょうか。

お次は長尺でもなく(今のところシーズン2)30分のお気軽コメディシリーズ「デリー・ガールズ 〜アイルランド青春物語〜 」。テロといったらIRAの時代、北アイルランドのデリーに住む高校生5人組のドタバタ青春物語です。いい意味でクダらない日常の出来事(恋や試験や先生)をめぐって大騒ぎする女子高生(と家族)の姿で大笑いできるドラマ。わたくし、第一話の冒頭から吹き出しました。出てくる登場人物全員がブっ飛んでいて最高。巧みに当時の(90年代)社会動静やカルチャーを盛り込んでいて(テイクザットのライブに行くために死線を越えたり)、そのあたりに郷愁がある人ならニンマリ。毎回コーヒー吹き出す笑いが満載なのだけど、毎シーズン最終話に号泣間違いなしの感動が待っていてビックリ。友達って最高~!と大泣きできます。おすすめ。

あと デヴィッド・フィンチャー監督が手掛ける犯罪サスペンスドラマ「マインド・ハンター」(シーズン2まで)も見終わりました。こっちは毎回緊張と怖さでグッタリ。すごく雑に説明すれば映画「羊たちの沈黙」をドラマにしたやつ。FBIの行動科学捜査課の誕生を描いたドラマともいえますが、さすがフィンチャー監督というかドラマでも手を抜くどころか映画を超える勢いのクオリティを納品。有名なシリアルキラーが実名でばんばん登場してきて、その威圧感と殺気がスゴすぎて(役者がスゴイのか)、ただ刑務所で殺人犯にインタビューしているだけなのに狂気が映像からじわじわと飛び出してくるんですよ。そして近年犯人が捕まったばかりだという連続殺人事件( BTK 絞殺魔 )がドラマ中で進行中の事件として登場するんですが、その事件の詳細なんかをネットで読んだばかりなので、その捜査がどのように進むのかという猟奇殺人小説を読み進めていくような興奮もあって、見事なドラマになっておりました。シーズン3早くお願いします。
なんか海外ドラマで使われる率高しのレッド・ツェッペリンの曲が「マインド・ハンター」シーズン1最終話で使われておりました。この最終話の最後のシーンの緊張感と恐怖感のものすごさはぜひ見てほしいかぎり。曲のタイトル「In The Light」もそのシーンにどハマり。光の中で。狂気から正気を求めて。