怖すぎます

映画「女神の見えざる手」ポスター

最近なぜか立て続けにポリティカルサスペンスものの秀作に出会いました。どちらもあまり前情報なく、なんとなく見てみたらものすごく引き込まれてしまったという作品。

image via miss sloane

まずはジェシカ・チャステイン主演 「女神の見えざる手」 (2017年)。若干ダサい(すみません)タイトルで損をしている気がしますが、見たら最後までまったく先の読めない緊迫感が続く、恐ろしく良くできた脚本に度肝抜かれます。あまり日本では馴染みのないロビイスト(法案などの可決に影響力を及ぼす活動を行う外部団体)を主人公に、これまた日本人には理解しがたいアメリカの銃社会に大きな影響を持つ銃規制問題を扱っていて、私たちの知らない政治の裏側世界を「24」(ジャック・バウワー)ばりに目を離したら急展開が始まる怒涛のスピードで展開。主人公の天才的ともいえる手練手管に最後はマジか~!と声が出ること間違いなしです(私はそう)。勝つためにはどんな手段も厭わない冷酷非情な天才っていう主人公像はよく見られる手法ですが、えげつないほど冷徹に最後まで突き進むのでバッドエンディングか!?と思わせといてぇのぉ~(ネタばれ禁止)で、カタルシス半端ない最後が待っております。

Picture Shows: Dominic Cummings (BENEDICT CUMBERBATCH)

お次は、誰だお前?レベルに頑張ったベネディクト・カンバーバッチが実在の人物を演じたTV映画「ブレグジットEU離脱」(2019年)。タイトルのとおりイギリスのEU離脱に大きな影響力を及ぼした政策参謀のドミニク・カミングスがいかにして劣勢から勝利を導いたかの一部始終を描いたもの。

これもまた銃規制と同じく私たちには謎の多いブレグジット(EU離脱)を理解するにはうってつけの作品で、関係者へのインタビューと関連書籍を基に、実際起きたことに近いことが描かれているそうで、ばんばん実在の人物が実名で出てきます(もちろん俳優が演じてるけど)。正直、ボリス・ジョンソンとかナイジェル・ファラージといった 離脱派の人物のことはなんとなく知っていたけれど、この映画の主人公ドミニク・カミングスこそが最重要人物だったとは初めて知った事実で、そして多くの人が彼のことをあまりよく知らないことこそが、ブレグジットに至った大きな理由なんだとわかって、寒気がして後味最高に悪く見終わりました。

フェイクニュースやビッグデータといった新時代の世論形成の恐ろしさを垣間見たような、自分が今自分の意見として考えていることは果たして自分だけのものなのか不安になるような、いろいろ考えさせられてモヤモヤが残るばかり。それにしても、こんな自己反省みたいな作品が作れるところは、やはり腐っても大英帝国なのだな(笑)と感心はしましたよっと。

あと、これ見るまでは国民投票とか県民投票に肯定的な意見持ってたんですが、今では少し懐疑的になってしまったことは、確実にこの映画の悪影響。ネガティブ感想多すぎ? とはいえ、政治的駆け引きの面白さ満載のドラマで物語にぐいぐい引き込まれるけど、最後には怖くなるので覚悟してね、ってことで。ブレグジットに興味のある人にとって必見の作品であることは間違いありません。

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