猛烈な暑さで体も気力もぐんにゃりしちゃう季節に無理やり繋げて、時間感覚もぐんにゃりしちゃう映画を最近見ました。最近つ~ても私が見たのが最近なだけで、公開自体は何年も前の古いものですみません。コーエン兄弟監督作の「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」(2013年公開)です。

ニューヨークでうだつの上がらないフォークシンガーをやっているルーウィン・デイヴィスの哀しいような笑えるような人生の一瞬を切り取った作品。コーエン兄弟の作品のなかでいちばん好きかもしれない。基本的には性格の悪いダメな主人公なんだけど、時折見せるひたむきで切ない瞳に胸がギュッと締め付けられます。人生の大半はうまくいかないけれど、光が差すかもしれない人の姿を、コーエン兄弟らしいフワッと変な演出で童話のようにみせる作品でした。そしてなんといっても猫が冒頭からスルっと物語に入り込んできて、重要な役回りをはたすあたりも猫映画として最高。あと忘れちゃいけない劇中にたくさんかかる音楽のなかでのお気に入りが、「Please Mr. Kennedy」というジャスティン・ティンバーレイクとアダム・ドライバーとで歌うnovelty song(コミックソング?)。耳から離れなくて、毎日思い出しては頭の中で歌ってるほど~。

調べたところ、1960年にリリースされた「Mr. Custer」というコミックソングの4度目のカバーなんだそうで。

で、この映画の最大の謎というのが映画の冒頭とラストがぐい~んと時系列を無視してつながる構造。時間がぐんにゃり円のようになって、「え、今の何?」と煙に巻いて終わるという、コーエン兄弟らしいフツーの映画は決して撮らないぞ精神、私はかなり楽しめました。

これでふと思いだしたのが、少し前に見た三宅唱監督の「playback」(2012年)という作品。こちらも人生に行き詰った俳優(村上淳)が故郷を訪れたら、急に時間が巻き戻って高校時代に戻っていたというお話。過去と現在がくるくる入れ替わる構造で、なにが本当に過去起きていたのか、現在は変わってしまったのか、もしくは全部が夢なのか、なんとも不思議な感触の映画でちょっと忘れがたい1本でした。全編モノクロの映像も美しいし、音楽(大橋トリオ)も染みる良さ。なんだかわかんないけど後味良さを求める方におススメしたい映画です。